第2章 コバルトブルーの怪物を飼っている
今日で糸が見えるようになってから6日経つ。この視界をチラつく糸も今日を入れて後2日耐えれば見えなくなる。ユウは早く1週間経たないかとそわそわしていた。
「小ーエービーちゃんっ」
次の授業は飛行術で、ユウは体操着に着替えグラウンドへ向かう為グリムと共に移動していた。
すると背後からフロイドの声が聞こえ、ユウは彼の言うエビのようにびくつくとバッと後ろを振り返った。
しかし後ろにフロイドはいない。
あれ?と首を傾げ、ユウは顔を正面へと戻すと、
「ばあ♡」
フロイドはいつの間にか彼女の正面に回り込んでいた。
「ヒ、」
ユウは悲鳴にもならない声を上げる。
その大きな身体でいったいいつの間に前に回ったのか。それも魔法なのだろうか。
ユウは疑問に思うが、目の前でニコニコと機嫌が良さそうに笑うフロイドに彼女もまたぎこちない笑みを浮かべた。
「小エビちゃんビックリした?」
「はい、とても。声は後ろから聞こえたのに。いつの間に正面に?」
これも魔法ですか?
尋ねるユウ。
足元でグリムがズボンの裾を引っ張っている。早く行こうという意味であろうということは理解できたが、それは難しい問題だ。
少しでも選択を間違えたらフロイドの機嫌は一気に悪くなる。
ユウは今、ヤンデレ乙女ゲームでもやっているような気分でいた。
乙女ゲーム、やったことないけど。