第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
「………明日」
「え?」
「明日なの。私が帰るのは」
「いやいやいや!冗談はよせよ。
いくらなんでも急すぎるだろ!」
「……本当はね、ダンスパーティーの2日前に学園長から言われてたの。
でも、私……皆んなにはいつも通りに接してほしくて………だから今日まで黙ってたの」
2人の顔から笑顔が消える。
どうしていいのかわからない。そんな戸惑いの表情を浮かべていた。
「グリムは?グリムは知ってたのか?」
「……知ってたんだゾ……」
「何でもっと早く言ってくれなかったわけ……?」
「……ごめんね」
ついに俯いてしまった2人。
ユウは何も言うことが出来ず、黙っていた。
他の生徒が学園へと向かっている中、俯き立ち止まっている彼らはとても目立つ。
通り過ぎる生徒たちは皆、一度は彼らに視線を向けた。
「よしっ!」
暫く経った時、漸くエースが顔を上げ、ひとつ手を叩いた。
「ユウ、今日はオンボロ寮でパーティーしようぜ!沢山お菓子用意してさ、朝まで騒ぐんだ!」
「あぁ、それはいい考えだ!
放課後、購買でお菓子を買ってこよう。
菓子は僕たちの奢りだ!僕たちが奢るなんてそうそうないぞ」
彼らが無理に元気を出しているというのはすぐに分かった。
しかしユウはそれに気づかないフリをして、「うん、やろう!」と笑顔で頷いた。