第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
ユウが故郷に戻る日まで、ついに後1日になった。
ユウは朝、制服に着替えながら決意した。
隠していたけれど、今日、皆んなに帰る事を言おう。と。
しかし全員にこれを伝えに行くのは難しい。この学園は広く、皆んなどこにいるかわからないからだ。
ユウは考えてから、まずエースとデュースには直接ちゃんと話したいと思った。
朝会ったら真っ先にこの話をしようと決意した。
「はよーす。あれ、なんかお前目ぇ腫れてね?」
「おはよう、ユウ、グリム。
本当だ、確かに少し腫れてるな。何かあったのか?」
「おはよう。2人とも。
ちょっと色々あってね」
「ふーん」とエースとデュースが相槌を打つ。
彼らはそれ以上その事に言及してこない変わりに、すぐに別の話題を振ってきた。
ユウはそれにすぐさま「ちょっと待って。私、2人に話したいことがあるの」と話を遮った。
デュースは不思議そうな表情でユウを見る。
エースは話の腰を折られ不服そうだ。
「あ、あのね……私、故郷に帰れることになったの」
バクバクと心臓が激しく音を立てて鳴る。
心臓の音が耳に響くあまり、ユウは自分が発した声がよく聞こえなかった。
エースとデュースはぽかんとした表情のまま固まる。
その時足の動きも止まり、2人はその場に立ち尽くした。
ユウとグリムも2人より少し進んだところで足を止める。
「よ、良かったじゃん!いやぁ、学園長ちゃんと探してくれてたんだな!」
「あぁ、本当に良かった!そ、それで帰るのはいつなんだ?3年後とかそのくらいか?」
良かった、良かった。と少し大袈裟なくらい喜ぶ2人。
ユウはその姿が痛々しく見え、胸に詰まる思いを感じた。