第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
「ジャミル先輩……」
ジャミルはユウの表情を見て、片眉を上げる。
そしてラギーに視線を向けると「彼女に何かしたのか?」と少し剣のある声で聞いた。
ラギーは肩を竦める。
「いや、まさか。オレはちょぉと質問しただけッスよ」
ラギーの返答にジャミルは訝しげな表情をするも、特に言及はせず、変わりに彼女の肩に手を置いた。
「少し、話をしないか?」
しゃがみ込み、ユウと目線を合わせながら幼い子供に言い聞かせるような声でそう言ったジャミルに、ユウはぎこちなく頷いた。
ほら。と、ジャミルに手を差し出され、ユウはそれにおずおずと自らの手を重ねる。
グイッと上に引かれた彼女は、そのままジャミルに手を引かれ談話室を後にした。
チラリと後ろを振り返った時、心配そうにユウを見るグリムと、少し申し訳なさそうな表情をしたラギーが彼女の視界に映った。
連れてこられたのは空き部屋だった。
空き部屋と言ってもそこには談話室と同じように高そうな絨毯やら家具やらが置いてあり、違うのは壁が吹き抜けになっていないことだ。
ジャミルは空き部屋に入るとすぐにユウと向き合った。
繋がれた手はいつの間にか離れていた。
ジャミルを見つめるユウの瞳は不安げに揺れている。