第2章 コバルトブルーの怪物を飼っている
空の旅から直接オンボロ寮へと帰ってきたユウはスカラビア寮に忘れ物をしてきてしまっていた。別に大したものではなかった為彼女も忘れたことに気付いていなかったが、宴があった次の日、ジャミルが放課後にわざわざオンボロ寮までその忘れ物を届けにきた。
放課後寮の扉が叩かれた時、ユウはまたエースかデュースがリドルに首を刎ねられたため此処に避難しに来たのかと思った。
奴らだったら速攻追い返そう。何せ一昨日もエースが首輪を付けて泊めてくれと来たのだ。今日は絶対に泊めない。
まだエースやデュースが来たと決まった訳ではないが、ユウの中ではもうその2人のうちのどちらかか2人とも来ているものだと確信していた。そのくらいこのオンボロ寮へと来る人物は限られているのだ。
バンッと勢いよく寮の扉を開ける。
するとそこに立っていたのはエースでもデュースでもなく、彼女の忘れ物を届けに来たジャミルだった。
勢いよく開いた扉にジャミルは目を瞬かせる。
「……君は随分と乱暴に扉を開けるんだな」
しかし目を瞬かせたのはユウも同じで、まさかこのオンボロ寮にエースやデュース以外の人が来るとは思っていなかったのだ。
たまに庭先にツノを生やしたリーチ兄弟以上の長身の男が現れるが、それは寮の中にまで入っては来ないのでノーカンとする。