第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
「こんばんは、アズール先輩。
お邪魔してます」
「いえいえ、是非ゆっくりしていってください」
軽く頭を下げるユウに、アズールは胡散臭そうな笑みを浮かべると、「お隣失礼しますね」と、ユウの隣に座る。
「え、」と驚くユウを他所に、アズールはジェイドに「ブルーラグーンを」と注文した。
「は、何アズール。何でここに座んの」
「おやおや、サボりですか?アズール」
「いえ、休憩ですよ。それに今日は僕がいなくても回りますしね」
「いやいやいや、休憩なら他のとこ行ってくんない?」
見てわかるだろ。
と、フロイドがアズールに凄むが、アズールはそれをにこやかに笑って無視した。
「1人では寂しいじゃないですか。
それに、折角ユウさんがいるんです。是非ご一緒したいと思いまして」
「いいから、思わなくていいから」
「僕がいては迷惑ですか?ユウさん」
「い、いえ。そんなことは……」
「迷惑。ちょー迷惑!」
ユウの言葉に被せるように叫ぶフロイドだったが、まるでフロイドの声はアズールには聞こえていないかのように、アズールは「ありがとうございます、ユウさん」と今さっき来た水色が美しいお酒、ブルーラグーンが入ったグラスを持ち上げ、ユウの前に差し出した。
彼女は一瞬理解できなかったが、すぐにそう言うことか。と、慌てて自分のグラスを持ち、アズールの持つグラスに当てた。
カチンとこぎみよい音が響く。
そしてそれは同時に戦いのゴングでもあったようで、フロイドが
「あー、今無性にたこ焼き食いたくなってきたわぁ」
と今までに聞いたことのない地を這うような声でそう言った。