第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
ユウは自分の故郷について考える。
どんなところかと聞かれてもどう答えればいいのかわからない。
ユウは暫く考えて、
「そうですね……魔法がない世界ですかね」
と、ありきたりなことを答えた。
「まじで魔法ないんだ。魔法がない生活とか想像つかねぇんだけど」
「私はこっちの世界に来た時、魔法があることに驚きました。
人魚とか、獣人がいることにも」
「え、人魚もいねぇの?」
「人魚の伝説とか、そういうのはありますけど。実際にはいないと思います」
「やばっ。そんな何もない世界、楽しいの?」
「そりゃ……楽しいですよ。それに、故郷ですから」
「ふーん。小エビちゃんはさ、帰りたいの」
フロイドのその言葉に、ユウは何も言えず、ただへらりと笑った。
ユウたちの後ろから、コツコツと神経質そうな足音がした。
フロイドは振り返らなくても誰が来たか分かったようで、ゲッと顔を顰めた。
「こんばんは。ユウさんにグリムさん。
ようこそ、モストロラウンジへ」
足音の主はアズールで、営業スマイルを浮かべながらユウとグリムを見た。