第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
「おや、それは残念だ。
それならヴァージン・モヒートなんていかがですか?」
「ヴァージン・モヒート?」
「ミントとライム、炭酸の爽やかなノンアルコールカクテルです」
「じゃあ、それをいただきます」
「かしこまりました」
ジェイドは背中を向けると、冷蔵庫や棚から材料を取り出し、早速ヴァージン・モヒートを作り始める。
カクテルが作れる高校生なんて、いったいどのくらいいるんだろう。
ユウは興味津々でジェイドの手捌きを見つめていれば、「ちょっと小エビちゃん」とフロイドが頬杖をつきながら彼女を見ていた。
「言っとくけど、オレだってカクテルくらい作れるから」
「え、そうなんですか?流石ですね」
ユウが純粋に褒めれば、フロイドは一瞬目を瞬かせた後、「そう、流石でしょ?」と満足げに笑った。
ヴァージン・モヒートは、透明なサイダーの中に、ミントとライムが入ったとてもお洒落な飲み物だった。
一口飲むと、パチパチと炭酸が弾け、スッとミントとライムの香りが鼻から抜けた。
ユウはこんなお洒落な飲み物を飲んだことがなく、この店の雰囲気も相まって、アルコールが入っていないのに酔ってしまいそうだった。