第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
「何か適当に飲み物ちょーだい」
「なるほど。では僕特製、きのこドリンクでいいですか?」
「いいわけねーじゃん。てか、いつの間にそんなの作ってたの?」
ジェイドとフロイドがカウンター越しでやいやいと言い合いをする中、ユウは店内を見回した。
モストロラウンジに来たことは何回かあったが、だいたい問題ごとのあれやそれやで来ていた為、こうしてゆっくりと店の中を見るのは初めてだった。
薄暗い店内をクラゲとタコの脚を模したシャンデリアがほのかに照らしており、大人な雰囲気なそれは、バーを彷彿させた。
そしてここには大きな水槽があり、色んな魚が自由に泳ぎ回っている。
ユウはそれを夢中で見つめた。
「小エビちゃんは何か飲む?」
フロイドの声で漸くユウは水槽から目を離す。
ドリンクのメニュー表を渡されるが、聞いたことのないお洒落な名前の飲み物がずらりと書かれており、何を頼めばいいのかわからない。
ユウはメニュー表から顔を上げ、「何かお勧めはありますか?」とジェイドに聞いた。
「小エビちゃん、ジェイドに聞かない方がいいよ。きのこドリンク勧めてくるから」
フロイドが苦い顔でそう言う。
ジェイドがそれに「フフッ」と笑うと、「いかがです?きのこドリンク」と本当に勧めてきた。
ユウは苦笑いしながら「大丈夫です」と首を横に振った。