第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
フロイドは若干テンションが下がっていた。
何故ならユウがグリムも一緒がいいと言ったからだ。
モストロラウンジのカウンター席に座るユウとフロイド、そしてグリム。
ジェイドはそれをカウンター越しでニコニコと笑いながら見つめた。
フロイドがジェイドをギロリと睨む。
「何、なんか文句ある?」
「おや、フロイド。僕は何も言っていませんよ?」
戯けるジェイドをフロイドはより一層睨んだ。
フロイドはオンボロ寮へと向かう前、ジェイドとアズールにユウを誘ってモストロラウンジでご飯を食べる。と、話していた。
「お食事デートとかいうやつですか?」とニヤニヤしながら揶揄ってきた2人に、フロイドは「そうだけど?」っと余裕な表情で答えたのであったが、しかしまさかのオマケ付き。
フロイドは愕然とした。
でもここでグリムが来ることを断れば、きっと彼女からの好感度は下がってしまう。
そう思ったフロイドは一瞬真顔になったが、それでも笑顔を浮かべて「いいよ」と言ったのだった。
デートだと余裕ぶっていたくせに、グリムも連れて店にやってきたフロイドに、ジェイドとアズールは人知れず爆笑していた。
「見てください、あの引きつった笑顔!」
「あぁ、フロイド!流石僕の兄弟です。面白過ぎます」
誰も見ていないことをいいことに、2人は裏で一頻り笑うと、いつもの営業スマイルを浮かべて店に戻った。
3人が座るカウンターの中に入ったジェイドはいつも以上にニコニコとしている。