第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
フロイドはユウが支度をしている間、談話室のソファに座って待っていた。
フロイドがこのオンボロ寮へと入ったのは2回目で、1回目は彼女からこの寮を取り立てた時だった。
今思えば、フロイドはあの時の自分を殴ってやりたくなった。
女の子であるユウから寮を奪い、海の中では人魚の姿に戻って追いかけ回したのだ。
フロイドとジェイドが人魚の姿でユウたちの前に現れた時、ユウも含め、彼らはかなり驚きそして顔色を悪くし逃げていった。
あの時はなんとも思わなかったが、今思い返すと、ユウは人魚の姿の自分を気持ち悪いと思ったのではないかと心配になる。
いや、でもウィンターホリデーの時は背中に乗せて泳いだし。
大丈夫大丈夫。と、フロイドは自分に言い聞かせた。
数十分後、ユウが支度を終えフロイドの元へやってきた。
服は制服だが、化粧をしている。
フロイドはじっくりとユウを見つめると、「うん、可愛い」と頷いた。
ユウはカッと頬を染め、えへえへと笑った。
もう何人にも褒められているだろうに、毎回そう恥ずかしそうに笑う彼女が、フロイドは微笑ましかった。