第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
「フ……フロイド先輩?」
ユウの声が微かに揺れる。
彼女の姿を見たフロイドは嬉しそうに笑うと、「小エビちゃん」とユウを呼んだ。
「一緒に夕飯食べに行こうよ」
「え、夕飯ですか?」
「そう。って言ってもレストランとかじゃなくてモストロラウンジだけど。オレ奢るし」
「い、行きたいです!」
ユウは思わずかなり食いつく形で返事をした。
そして、これではまるで奢ってもらえるから行きたいみたいじゃないか。と、慌てて「自分の分は自分で払うので……」と付け加えた。
それにフロイドは「フハッ」と笑う。
「いいよ、奢らせて」
「で、でも……」
「もう行けるなら行くけど、小エビちゃん支度とかある?」
ユウがこれ以上遠慮しない様に、フロイドは話題を変える。
するとユウは慌てて、「あっ、ちょっと待ってください。すぐに用意してきます」と寮の中へと戻っていった。
しかしすぐに戻ってくると、「ちょっと時間がかかるかもしれないので、寮の中で待っててください」と、扉を大きく開き、フロイドを中に招き入れた。