第13章 夢みていたのおとぎ話の世界
目が腫れて、瞼が重たい。
ユウは濡れたタオルを目に乗せた。
ひんやりとした冷たさが、じんわりと瞼を覆う。
グリムは寮の中でじっとしているのが苦手のようで、休みの日は庭でゴーストとマジフトをしたり、ハーツラビュルに遊びにいったりと、あまり寮の中にはいなかった。
しかし今回ばかりはグリムは寮の中で、ユウの側を離れない。
ユウは少しだけタオルを持ち上げ、そんなグリムをチラリと見る。
そしてユウは何分か考えてから、「ねぇ、グリム」と、グリムに声をかけた。
「何だ?」と顔を上げるグリムに、ユウは「お願いがあるの」とタオルを退かす。
「あのね、エースやデュース……他の皆んなにも、私がもうすぐ帰るってことは言わないで欲しいの」
何故?っと言うような声を上げるグリムに、ユウはただ優しく笑った。
グリムは暫くジッとユウの目を見つめるが、柔らかな笑顔を浮かべるばかりの彼女にグリムはもう何も言うことが出来なくなって、返事のかわりに三又槍のような尻尾をペシペシと彼女の足に当てた。
気づけば時計の針が午後の6時を回っていた。
根気強く目にタオルを当てていたお陰か、だいぶ腫れが引いてきた。
そろそろ夕飯の準備をしなければ。ユウがそう思った時、ドンドンドンと、寮の扉を誰かが叩く音がした。
エースかデュースだろうか。
そう思ったユウだが、1度彼らかと思い勢いよく扉を開ければジャミルが立っていたということがあった為、今回は気をつけようと、ゆっくりと扉を開ける。
扉の先には、フロイドが立っていた。