第12章 月を見てる君を見ていた 2
フロイドは自分のベッドに倒れ込む。
白い天井を見上げ、中庭でのひと時と、最後の彼女とのキスを思い出した。
ニヤニヤとだらしなくフロイドの顔が緩む。
ダンスパーティーなんてクソ食らえと思っていたフロイドだったが、もう1年中ダンスパーティーを開催してくれないかと思った。
そしたら毎日あの美しいユウを見ることができて、彼女に触れることができるのだ。
他の男には絶対に触らせない。
常に自分が彼女のペアで、そうすればユウに邪な感情を抱く男たちもきっともう彼女には近づかないだろう。
そんな日々を想像して、フロイドは更に顔をにやけさせた。
結局、告白の返事を聞くことは出来なかったが、そんなことはもうどうでいい。
だって自分の気持ちはずっと変わらないのだから。
例え100年経ったってフロイドはユウのことが好きである自信があった。
ニヤニヤとしながら天井を見上げていたフロイド。
そんな彼の顔を、
「随分と頬を緩めていますが、何か楽しいことでもあったんですか?フロイド」
いつのまにか部屋に入ってきたジェイドが覗き込んだ。
フロイドは咄嗟に枕を掴み、ジェイドに向かって投げつける。
それをジェイドはひょいっと軽々避けた。