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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第11章 月を見てる君を見ていた



しっとりとしたバラードが大広間を包み込む。
寮長たちが煌々と照らされたダンスフロアに歩み出た。
暫く寮長たちのダンスが続き、一曲目が終わったところで、他の生徒たちも踊れるようになった。
大勢の生徒たちがダンスフロアに入っていく。
ユウもジャミルに手を引かれながらダンスフロアに足を踏み入れた。

ユウの腰にジャミルの手が回る。
授業でのダンスの練習の時よりも、彼の手がよりハッキリと感じられた。

一曲目とは違う、しかし同じゆったりとしたテンポの曲が始まる。
その場でスローなターンをしながら、ユウはジャミルのネクタイ辺りを見つめた。

「ユウ」

頭上から声がかかる。
見上げると、ジャミルと目が合った。
ジャミルは何も言わない。
そしてユウも何も言わなかった。
しかし2人はダンスが終わるまでずっと見つめ合っていた。


フロイドは大広間の端っこにいた。
ペアのマーメードドレスの彼女は、フロイドに愛想を尽かし何処かへ行ってしまっていた。

フロイドは賑やかなダンスフロアを見つめる。
男子たちはどいつもこいつも鼻の下を伸ばし、ペアの女子にデレデレとしていた。
フロイドは一つ大きな舌打を落とす。
しかしそれは誰にも拾われることなく消えていった。

もうこっそり大広間から出て行ってやろうかと思った時、フロイドが見ていたダンスフロアから、ジャミルに手を引かれ顔を赤くしたユウが出てきた。

見たくないはずなのに、フロイドの視線は2人から離れない。



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