第11章 月を見てる君を見ていた
時刻は7時45分。
すでに大広間には人が集まりつつあった。
オクタヴィネル3人組はもうすでに大広間に到着し、お互いのペアを待っていた。
フロイドは「えー、まだ行かなくていいじゃん。ギリギリでよくね?」と言っていたのだが、アズールが「女性を待たせるわけにはいかないでしょう」と無理やり連れて来たのだった。
大広間にいるほとんどの人間は男子で、皆そわそわしながらペアの女子を今か今かと待っている。
フロイドは既に飽きたのか不機嫌そうな表情を浮かべ、タキシードなのにも関わらず、制服の時みたくズボンのポケットに手を突っ込んだ。
その様子を見てアズールはため息を溢す。
「フロイド。今は別にそんな態度でもいいですが、お相手の女性が来たら改めるんですよ」
「面倒くせー。ぶっちゃけもう帰りたいんだけど」
「始まってもないのに何を言ってるんだお前は」
アズールはもう一度、今度は先程よりも大きなため息を吐いた。
7時55分。
大広間に着飾った女子たちが、ぞろぞろと現れる。
色んな色のドレスを着た女子たちが大階段を降りてくる姿を見たフロイドは、熱帯魚の群れみたいだと思った。
その群れの中に、フロイドのペアの女子もいた。
紫色のマーメードドレスは彼女のスタイルの良さを際立てていた。
アズールとジェイドのペアも居たようで、2人はそのペアの女子の元に歩いていく。
しかしフロイドは動く気になれず、その場で棒立ちになっていた。