第11章 月を見てる君を見ていた
ユウはドレスを持ってポムフィオーレ寮へと向かった。
シャンプーしたばかりの髪は、彼女が歩くたびにさらさらと揺れ、ほのかに花の香りが香ってくる。
ポムフィオーレ寮へと着くと、今度はヴィルの部屋へと通された。
ユウの部屋とは比べものにならないくらい広く、豪華な部屋だった。
部屋に着くとまずドレスに着替えろと言われ、ヴィルが部屋の外で待機する中、ユウはいそいそと着替えた。
ドレスなんて初めて着たので、いまいち着方が分からず手間取ったが何とか着替え終わる。着替え終わった事をドア越しでヴィルに伝えると、「開けるわよ」の声の後、扉がゆっくりと開いた。
部屋に入って来たヴィルは頭の先端から爪先まで、じっくりとユウを見る。正面から見たり、横から見たり、後ろから見たり。
余す事なく見た後、漸く一言「まぁ、いいわね」と言った。
ほっとユウの身体から力が抜ける。
知らない内に身体に力を入れていたようだ。
「いらっしゃい。ここに座って」
ユウはヴィルの指示に従い、鏡台の前の椅子に座った。
鏡台にはコスメボックスがずらりと並んでおり、ユウの持っているものとは比べ物にならないくらい沢山の種類のコスメが入っていた。