第10章 私のための無垢なドレス 3
ユウは後頭部に手をやりながら困ったように笑う。
最近大人っぽくなった彼女だが、こういう風に笑った時は年相応に見えた。
「もし良ければ俺が教えてやろう。
カリムにもよく教えているし………」
そこまで言って、彼はユウが自分を通り抜けて何処か別の所を驚いたように見ているのに気づいた。
「ユウ?」
ジャミルは眉を顰め首を傾げる。
するとその声にユウはハッと意識を取り戻し、取り付けたように笑みを浮かべた。
「あっ……すみませんジャミル先輩、私そろそろ行かなきゃ………」
失礼します。と、頭を下げ、ユウはまるで逃げるようにその場を去って行く。
いったいどうしたのか。
ジャミルは不思議に思い、彼女が驚いた表情で見ていた自分の後ろを振り返る。
特に変わったことはないが、強いて言うなら少し離れた所にフロイドがいて、彼がボーバトンの生徒の1人と仲睦まじそうに話しているだけだった。