第10章 私のための無垢なドレス 3
次の授業への移動中、ユウは廊下でジャミルと会った。
ユウと目が合うと、ジャミルは片手を上げる。
そんな彼にユウは笑顔で会釈をし、「こんにちは。ジャミル先輩」と言った。
「あぁ、何だか君と会うのは久しぶりな気がするな」
実際、ユウとジャミルは最初のダンスの授業以来会っていなかった。
実に1週間ぶりだ。
ダンスの授業は今も続いているのだが、合同になるクラスは毎回違っている。
つい最近は2年Bクラスとの合同で、ユウはペアを組んだラギーにユニーク魔法をかけられ、散々弄ばれた。
ユウとジャミルが立ち話を始めれば、一緒に移動中だったエースとデュース、そしてグリムは気を使ってか「先に行ってるからな」と言って行ってしまう。
ユウは「あ、ちょっと」と思わず彼らの背に声をかけるが、彼らは振り返ると「ごゆっくり〜」とニヤニヤ気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「君たちは本当に仲が良いな」
その様子を見ていたジャミルがしみじみと言った。
ユウはそれに「えぇ?」と笑う。
「今のを見てそう思うんですか?」