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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第10章 私のための無垢なドレス 3



ユウはお茶菓子に手をつける。
ハーツラビュルの可愛らしいそれとは違い、大人っぽいお上品なお菓子だ。
一口齧れば優しい甘さが口の中に広がり、紅茶で少し渋くなった口の中に優しく溶け込んだ。


「あの、ヴィル先輩。ちょっと相談に乗ってもらいたいことがあるんです……」

フロイドの話になったことで、ユウは彼のことで最近気になっていることをヴィルに相談してみることにした。
ヴィルはティーカップに口をつけ何も言わないが、目がチラッとユウの方に向いた為、ユウは「えぇと…」と話し始めた。

「フロイド先輩のことなんですが……前はよく廊下であったりしてたんです。けど、最近全然姿を見なくて……はじめは具合でも悪いのかなと思ってたんですけど______」

そう。ユウははじめ、フロイドの姿を見なくなったのは彼が体調を崩しているからなのではないかと思っていた。
しかし、ついこの間他の男子生徒と校内をパルクールで追いかけっこをしているのを見たのだ。
あんな動き、具合の悪い人間が出来るはずがない。しかもあの時フロイドはユウの事を見たのだが、彼女の姿を捉えると先程まではにこにこと楽しそうに笑っていたのに、スンッと表情をなくした。
ユウは驚いた。だって彼女が見る最近のフロイドはいつもにこにこと笑っていた。

表情をなくしたフロイドはユウから視線を反らすと、そのまま背を向け何処かへ行ってしまう。
その様子を見たユウは、まるで世界の端っこに置き去りにされたような気分になった。




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