第10章 私のための無垢なドレス 3
「はい、光栄なことに」
「以外ね。アタシはてっきりフロイドに誘われるかと思ってたわ」
「それは……どうしてそう思ったんですか?」
「だってあの男、アンタのこと好きじゃない」
ユウは思わず咽せた。
飲んでいた紅茶が器官に入り、ゴホゴホと咳込む。
ヴィルが怪訝そうな顔をして「ちょっと大丈夫?」と聞いてくるが、その言葉の裏には「ちょっと汚いじゃない」という言葉が隠されていることをユウは感じ取った。
「だ、大丈夫です……」
何度か咳き込んだのち、ユウは自分の前で"大丈夫"のジェスチャーをした。
「何でフロイド先輩が私を好きだと思うんですか?」
復活したユウはヴィルに尋ねる。
それにヴィルは呆れたような顔をした。
「アンタ、あんなにアプローチされてるのに気づいてないわけ?
それにあのアンタと話してる時のだらしのない顔!あんなの嫌でも気づくわよ」
「そ、それは……皆んな知って……?」
「さぁ?それは知らないわ。鈍い奴は気付かないと思うけど」
ユウはそれを聞いて、じゃあ取り敢えずデュースは気付いてないなと思った。
あんまり"そういう事"を周りに知られるのに、ユウは抵抗を感じる。
中学生の時、それで凄い揶揄われたことがあったからだ。