【ヒプマイ】We are not siblings.
第1章 cross the line
「悪い、。本当に、悪い。俺は本当に最低なやつだと思う」
「言ってることが分からないよ」
一兄の意図が分からなくて戸惑っていると、扉を受け止めていた手を勢く押して、一兄は私の体を抱き寄せた。
「ちょっ、ちょっと。やめてよ、一兄。私、着替えてないっ」
「分かってる。分かっててこうしてる」
「じゃあ離して」
でも一兄は私の体を離してくれなかった。体が熱いのは、熱のせいなのか、一兄に抱き締められて恥ずかしいからなのかは分からない。でも、鼓動は緊張でどんどん早くなっていく。
「悪い、お前のその姿を見たら、ムラムラしちまった」
「ど、どういうこと?言ってる意味がわから、っんん……!」
言いかけたところで、唇を塞がれる。いつかのためにとっておいた人生初めてのキスは、あっけなく一兄に奪われた。
「んっ、んん!」
唇から逃れようとしても追いかけられて離してもらえない。ジタバタと動いたせいで私のバスタオルが落ちてしまい、私は一糸まとわぬ姿になった。
それに気がついた一兄が、唇を離し、床に落ちた私のバスタオルを拾う。初めてのキスを奪われた上に、裸を見られたことが恥ずかしくて堪らなり、私が自分の部屋に逃げようと足を踏み出すと、一兄は阻むように手首を掴む。
「待ってくれ」
「……いやだよ、離して。最低だよ、一兄。どうしてこんなことするの?」
振りほどこうとしても、男の一兄の力には叶わない。
「風邪引くから、お願いっ」
そう言うと、一兄はぐいっと私を引っ張り、私は後ろから一兄に抱き締められる格好になった。