【ヒプマイ】We are not siblings.
第1章 cross the line
熱のせいで体が汗ばみ、肌に張り付いて気持ち悪い。脱衣所で靴下を脱ぐと、ふとシャワーで汗を流したい気持ちに駆られる。
「軽くシャワー浴びる位なら大丈夫だよね。お風呂に浸かる訳じゃないんだし」
制服を脱いでキャミソールと下着を脱ぎ、浴室へ入る。こんな昼間にシャワーを浴びることなんて無いから、窓から差し込む太陽の光が不思議な気持ちにさせる。
髪を洗って軽く体を洗うと、体の中は熱いけれど、気持ちはさっぱりした。洗面所で体を拭いていると、思いつきでシャワーを浴びたせいで、替えの着替えも下着も持っていないことに気がついた。
「あー、なんでこんな初歩的なことに気がつかないんだろう」
そうは言っても私の部屋は脱衣所のすぐ斜め前だし、家には誰も居ない。仮にバスタオル一枚の格好で出ても、誰かに見られる心配はない。そう思って、私はバスタオルに体を巻き付けて洗面所から出た。
でも何故か、そこには家にいないはずの一兄の姿があった。
「っきゃああ!」
驚いて反射的に声を上げると、一兄も私に気付き、バスタオルを体に巻き付けた姿を見て目を逸らした。
「わっ、わりぃ。どうしてもお前のことが気になって、部屋に行こうと思っただけで」
「そ、そうなんだ。ごめん、私が無防備だったよね」
気まずい空気が流れ、私は後ずさりして洗面所の扉を閉めようとすると、ほとんど閉まりかかったところで、一兄の手が扉を受け止めた。
「えっ、一兄?」
扉の向こうから、大きく息を吐く声が聞こえる。
「どうしたの、何かあった?」