第7章 Unanswered letter
パチパチと音を立てて薪が燃えていく。炎に照らされた部分が、オレンジ色にゆらめている。スネイプ先生に続きハーマイオニーに怒られたので、体も心も疲れてしまった。レイを撫でながらグリフィンドールの談話室でくつろぐ。ハーマイオニーもロンも既にベッドの中だ。
「ねぇ、」
『ん?』
炎の音以外何も聞こえない空間。静寂を破ったのは、ひとつ隣りのソファに座るハリーに声だった。閉じかけたまぶたを開き、ハリーの方を向く。彼の視線は暖炉にあった。なんとなく、ハリーと同じように暖炉の炎を見つめた。
「屋敷しもべが来たこと言ったよね」
『うん。車の中で言ってたね』
「やつが僕宛ての手紙を全部持ってたんだ…からの手紙も」
『うん』
簡単な相槌。ハリーからの返事はない。続きの言葉を促すようにハリーを見ると、彼の視線もこちらに向いていた。
「実は…に忘れられたかもって思ってちょっと不安だったんだ。だってほら…はマルフォイとも仲がいいし」
『ふふっ』
「笑わないでよ」
『ごめんごめん。確かにドラコも友達だけど、だからってハリーを忘れる理由にはならないわ。ハリーも大切な友達だもん』
「……友達、ね」
3号温室の中は土の匂いで充満していた。嫌いな匂いではない。昔アサガオとかトマトとか育てた時のことが蘇る。匂いって記憶に結びついててちょっと不思議だ。
ハーマイオニーの隣で先生が来るのを待つ。目の前でガサガサと揺れる葉っぱを見つめていると、左から腕をぐいっと引っ張られ、バランスを崩す。転ばずに済んだのは、腕を引っ張った本人が抱きとめてくれたからだ。
「やあ、。元気だった?」
『ドラコ、今心臓が落ちそうになったわ』
「それはごめん」
右を見ると怒っているというか呆れているというか、顔を思いっきり歪めたハーマイオニーがいた。苦笑いで返すと、首を横に振った彼女は視線を前に戻した。
「汽車に乗り遅れたって? 」
『ホームの壁を通れなくって…やっぱりみんなそのこと知ってる?』
「まあね。全く、あいつらと一緒にいるとろくな事ないな」
わざと聞こえる声で話すドラコ。視線を追わずとも、その先にはハリーとロンがいることはわかる。
『ドラコ、悪く言うのはやめてよ』
「は優しすぎるんだ」