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もうひとつの古傷【HP】

第7章 Unanswered letter



 必死でドアにしがみつくハリー。真下にはスピード上げて走る汽車と、緑豊かな地しかない。どうにかして助けなければ。
 「手につかまれ」
 『ロンは運転に集中して!』
 ロンは焦りながらも、なんとか車を真っ直ぐ走らせようとハンドルを動かしている。杖を取りだしハリーに向ける。大丈夫。何回も練習したんだ。
 『アクシオ!わあっ!!』
 「うわあ!」
 威力が強すぎたのか、ハリーが目の前まで飛んでくる。なんとか抱きとめるが、衝撃は強く、お互いおでこをぶつけてしまった。でも、救助成功だ。おでこの衝撃に思わず目を瞑る。ゆっくりと目を開けると思ったよりハリーが近くにいた。
 『いたた』
 「ありがとう、。今の呪文…」
 『パーシーに教わったの。成功してよかった』
 「ふ、2人とも大丈夫?」
 ゆっくりと助手席に戻るハリー。運転している彼は震える手でハンドルを握っている。汽車には追いついたが、今さら乗ることはできないだろう。このまま汽車を辿り、ホグワーツへ向かうしかない。

 気がつけば辺りは真っ暗闇になっていた。お城のような学校が見えてきたことに安心したが、急に車の調子が悪くなり、荒い動きで降下していく。ロンがアクセルを踏んでもハンドルを回しても、言うことを聞かない。目の前には立派な樹木が立っている。このままでは直撃だ。
 『大変!前見て!』
 「よけて、木が!」
 「止まれ!止まれ!止まれ!」
 次に来たのは大きな衝撃。レイとヘドウィグ、スキャバーズのカゴを抱きかかえ、なんとか衝撃から守ろうとする。ようやく収まったと思ったが、車体に激しく打ち付けられるなにか。フロントガラスから見えたのは、太くて大きい木の幹だ。それも四方八方から。車を降ろそうとしてくれているのではなく、明らかな敵意だ。なんとか地面に落ちたが、木は全身を使って私たちを潰そうとしてくる。
 間一髪のところで避けると、今度は前にいる2人が急にいなくなった。車自身の意思で2人を追い出したのだ。トランクに積んである荷物も放り出された。ということは次は後部座席の荷物だ。
 『わっ!』
 勢いよくシートが動き出す。地面へと衝突が来るだろうと強く目を瞑るが、それは意外と柔らかいものだった。
 「」
 『ハリー…あっ!』

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