第7章 Unanswered letter
『レイ、暫くはそこで我慢しててね』
なるべく大きいサイズのケージを購入したのだが、こう見るとやはり窮屈そうだ。危険がないとはいえ、放したままのレイが保護されるのは困るので、こうするしか他ない。汽車に乗ったらすぐに出してあげよう。
時間がギリギリになってしまい、小走りでホームを進む。今年はジニーも入学なので、ロンのお父さんお母さんもホームまで見送るらしい。残るは私たち2年生組だけ。
ハリーとロンの後に続き、あまりスピードを出さずにカートを押す。見た目はただの壁なので、いくらすり抜けるとわかっていても、怖いものは怖い。脳で理解していても視覚的にはただの壁なのだ。と、考えていると、前方でハリーとロンが盛大に転んだ。少し遅れていたので、激突に巻き込まれることは回避出来た。
『2人とも大丈夫?』
「う、うん」
『どうしたの?』
「なぜか入口が閉じられてる」
急いで駆け寄り手を差し出す。ヘドウィグとスキャバーズのカゴも真っ直ぐ直し、散乱した荷物をカートに載せていると、ホームで時計が鳴り響いた。嫌な音だ。汽車はもう出発したはず。つまり乗り遅れたのだ。
「車のところで待とう」
「車か」
荷物を車に積み、助手席にハリー、後部座席に私、そして運転席にロンが乗る。エンジンをかけると、不安定ながらも車は見事に宙を浮いた。空を走って間もなく、透明ブースターを作動させ汽車を目指す。
暫く車を走らせると、街の景色は見えなくなり、緑豊かな景色が辺り中に広がっている。透明ブースターが効かなくなった。水色の車は高度を下げ、線路沿いを走っていく。そろそろ汽車に追いついてもおかしくない。
「汽車に追いつかなきゃ」
「遠くはないはずだ」
『あ、汽笛が聞こえる』
ほっとしたのも束の間。汽車に追いついたと思っていたが、汽笛は後ろから聞こえてくる。悲鳴をあげながらぶつからないように祈るしかない。運転手は私たちのことが見えてないのだろうか。そもそも運転手がいないのかもしれないが。
突然車が激しく横に揺れる。ロンが強くハンドルを切ったらしい。汽車は回避出来たが、ぐるぐると回転する車体に3人ともパニックになる。その反動でハリーが車から投げ出されそうになってしまった。
「『ハリー!』」