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もうひとつの古傷【HP】

第7章 Unanswered letter



 「うちに来たらいいよ。母さんも喜ぶし、ジニーもいる。それに空いてる部屋もある」
 ロンのお言葉に甘えて、夏休みの間、ウィーズリー家にお世話になっているのだ。もちろん居候するわけだから、家事を手伝うと申し出たが、それはロンのお母さんの魔法の仕事だった。
 最初来た時は、ロンのお父さんからマグルについてたくさん質問されて戸惑ってしまった。でも、ウィーズリー家のみんなはとても温かい。ロンのお父さんは直ぐに私を迎え入れてくれた。ロンのお母さんはとても面倒見が良くて優しいし、フレッドとジョージはイタズラが大好きで見ていて楽しい。パーシーはちょっと気難しいところもあるけど、勉強を教えてくれる。ロンも相変わらずだ。ジニーも仲良くしてくれるが、何故か彼女の口から出るのは決まってハリーの名前だった。

 ハリーの名前で思い出したが、そういえば、この休み中ハリーから手紙が届かない。ハリーだけではなくハーマイオニーからもだ。ロンは毎日一緒にいるので、手紙を出す必要は無い。ロン宛にハーマイオニーからの手紙は届いている。そこにはから手紙が来ないんだけど、と記されていた。原因は分からないが致し方ないので、ロンと同じ封筒に私からの手紙も同封させて、なんとかハーマイオニーとは文通している。ハリーからの手紙はロンも同じように来ていないようだ。

 夏も終わりかけ。と言っても日本と違って長袖を纏って丁度いいくらいの、過ごしやすい気温だ。
 下階からロンのお母さんの怒鳴り声が聞こえる。またフレッドとジョージが怒られているのだろうか。今日は珍しく2人が来ていないな、なんて考えながら服を着替え、身なりを整える。レイはまだ寝ているのか、ベッドの上でとぐろを巻いている。あくびを噛み殺しながら階段をゆっくり降りていくと、ドタドタと慌ただしい足音が近づいてきた。
 『あ、ジニー。おは──』
 こちらを見向きもせずに自室へと戻っていくジニー。一体何事だろうか。今にハテナを浮かべながら、階段を降りきると、温かい朝食の匂いがした。
 『おはようございます。いい匂い〜…ってあれ?ハリー?』
 「!!」
 勢いよく席をたち、こちらに向かって両手を広げるハリー。抵抗することも無くすんなりと受け入れれば、力強くでも優しく抱きしめられた。
 『久しぶりね!元気だった?』

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