第7章 Unanswered letter
少し低くなったその声。ハリーは先程到着したと話した。再会の喜びを共有していると、ロンのお母さんに席に着くよう促される。ロンの隣に座ると、出来たてのベーコンエッグが目の前のお皿に乗った。
「さあ、も召し上がれ」
『いただきます』
右は空席のまま。ジニーは未だに部屋から出てくる様子はない。こっそりロンにジニーはどうしたのか聞くと──と言ってもみんな近くにいるので、きっと聞こえているだろうが、「ハリーに照れてるのさ」と教えてくれた。からかうように笑うロンを、ハリーが強くひじでつついた。
「皆おはよう!」
朝の挨拶とともに扉を開いたのは、ロンのお父さんだ。朝から夫婦仲睦まじい様子を見せる。これも随分と慣れた光景だ。
席に座ったロンのお父さんが、そこでやっとハリーの存在に気が付いた。自己紹介をしたハリーを快く迎えてくれるロンのお父さん。本当にここの家族は素敵だ。ベーコンを含んだ口が弧を描く。
「いつここに?」
「今朝ですわ。息子たちが例の車で彼を連れてきたんです」
「本当に?上手く飛んだか?」
ここからは漫才だった。日本以外に漫才の文化があるかわからないが。ロンのお母さんは、きっとお父さんから叱ってくれるだろうと期待していたようだ。
ハリーにゴム製のアヒルの使い方について質問するロンのお父さん。ここへ来たばかりの時、同じ質問をされたな、と戸惑うハリーを見ながら思い出していると、フクロウの鳴き声が聞こえた。
『エロールね』
見事に窓へと激突するエロール。1番席が近いので、席を立ち上がりエロールの名前を呼ぶ。何事も無かったように手紙を渡すエロール。
『…大丈夫?』
痛かったであろう嘴を人差し指でくすぐると、甘噛みで返される。思ったよりも平気そうだ。
エロールが運んできたのはホグワーツからの手紙。ひとつの封筒に人数分の便箋が詰まっていた。そこには私とハリー当てのものもある。
「買いに行くならあそこね。ダイアゴン横丁」
朝食を済ませ、着替えが済んだら、いよいよ出発だ。ローブを身にまとい、大きな暖炉の前に集まる。ブルーパウダーで移動するのだ。
「さあ、出発よ。ハリーあなたから」
『あーハリーは初めてなので、私が行きます』
「そうね、じゃいらっしゃい」