第7章 Unanswered letter
汽車に乗る前にハグリッドから手渡されたひとつのアルバム。それを開くと、まだ幼い自分を抱きかかえ、幸せそうに微笑む2人。ページをめくると、いろんな試練を共に乗り越えてきた大切な仲間が写っていた。自分の隣で優しく微笑む少女。早く会いたい。その気持ちが自然と指を動かし、動く少女を優しく撫でた。今どうしているのだろうか。手紙を送るも、返信が来ない。
外へ出たいと訴えるように、カゴの中のヘドウィグが鍵をくちばしでつつく。出してやりたいのは山々だが、それを許してくれる家族ではない。1階から、自分の名前を呼ぶ怒鳴り声が聞こえてくる。
「怒られるぞ」
「またあなた達はの部屋に!!」
『わあ!なに?!』
近くから怒鳴り声が聞こえて、思わず飛び起きる。その反動でお腹の上で寝ていたレイが、ベッドから弾き飛んで行った。声の主はロンのお母さんだった。ベッドの両サイドにはフレッドとジョージがいる。なぜ怒っているのかは一目瞭然だった。
「僕達は悪くないさ」
「そうそう。を起こしに来ただけさ」
「全くが家に来てから毎回毎回…ごめんね、は悪くないのよ。ほら!早く出ていきなさい!!」
おしりを叩かれながら出ていく双子。怒られたのにも関わらず、2人は相変わらずヘラヘラと笑いながら手を振り、部屋から出ていった。
『……ごめんね、レイ。大丈夫?』
慌ててレイに駆け寄るが、特に怪我はしていないようだ。優しくすくい上げると、スルスルと肩に巻きついた。
ウィーズリー家にお世話になってだいぶ日が経つ。何故ここにお世話になったのか。それは叔母さんからの一通の手紙だった。何故返事をくれないのか、帰ってきてはダメというのは何故か、叔母さんに聞こうと思っていた矢先、ロンドンへ向かう汽車の窓に、一羽のフクロウが飛んできたのだ。喜んでそれを開けると、内容は想像していたものよりとても簡潔なものだった。
"前にも手紙に書いたけど帰ってきてはダメよ。私は無事だから心配しないで。いい?私を探さないで"
読み終わると同時に炎に包まれる手紙。今からまさに帰ろうとしていたのに、帰ってきてはダメと言われてしまったのだ。叔母さんのことはもちろん心配だが、叔母さんの言葉を信じるべきだ。そうなると、私は一体どこに帰ればいいのだろうか。