第6章 The decision is tonight
「体を取り戻す方法はひとつ。それは都合よくお前のポケットに入っておる」
逃げようと体を翻すが、クィレルの指がなると同時に火に囲まれ、逃げ道を絶たれてしまう。ヴォルデモートが一緒に手を組めば、両親に会わせてやると甘く誘惑する。みぞの鏡にうっすらと両親が映るが、その首は横に振っている。
「石をわしによこせ!」
「嘘つき!」
「殺せ」
咄嗟にハリーの前に出て、なんとかクィレルを阻止しようと体当たりをする。こんな時ハーマイオニーなら呪文を使うだろうが、生憎私にその知識はない。もちろん、大の男の人に叶うはずもなく、強く頬を叩かれ思わず地に伏せる。その時、運悪く石の階段に頭を強打し、意識がどんどん遠のいていった。
目を覚ますとベッドの周りにはお見舞いの品で溢れかえっていた。丸メガネを着けて、心配してくれる友人がいるんだ、と素直に嬉しく感じる。
「目が覚めたかの?」
足音とともに現れたのはダンブルドア先生だ。
「このカエルチョコ、ロンが君に変わってもう開けたようじゃ」
「…は?ロンとハーマイオニーも!」
「無事じゃ。3人とも元気じゃよ」
ちらりと横を見るダンブルドア先生。視線の先には気持ちよさそうに横たわるがいた。頭には包帯が巻いてあり、所々小さな傷ができている。規則正しく動く胸を見て、無事だということがわかり安心する。胸を見て、というのはもちろん変な意味ではない。
「…可愛らしい寝顔じゃ」
「はい…いや、あの」
「大切にするんじゃよ」
「えっと、あの…はい」
ダンブルドア先生には全て見通しなのだろう。ダンブルドア先生はイタズラな笑顔を浮かべて、ベットに腰かけた。照れくさい思いを隠すように、賢者の石について尋ねる。ダンブルドア先生は何があったのか包み隠さず話してくれた。
数回瞬きをすると、ぼんやりとする視界がだんだんとクリアなものになっていった。ここは…ホグワーツの医務室のようだ。ということはあの部屋から無事に脱出できたということか。
「!!」
『ハリー!ごめん、私気を失って…』
「僕もあの後気を失ったんだ…でも無事でよかった」
『うん。ハリーもね』
思わずハリーに抱きつく。驚いた声が聞こえたけど、ゆっくり背中に回された手が強く抱きしめ返してくれた。