第1章 Last summer vacation
「謝るのは私の方よ。ごめんね、」
『それってどういう…』
「あなたに不思議な力があることは知っていたわ。あなたは何も言わなかったから、私も言わなかった。ホグワーツはね、不思議な力を学んだりコントロールしたりするところなの……もうわかるわよね?ホグワーツから手紙が来たということ、つまりあなたは──」
『ちょ、ちょっと待ってよ。私が魔法使いってこと?でも、だって、私は普通の女の子だし、そんなこと急に言われても』
「おまえさんは普通の女の子じゃあねえ」
低い第三者の声。今まで黙っていたハグリッドの瞳が私を捕える。
「いきなり言われて気持ちわかるが、おまえさんは魔法を学ばなきゃならねぇ。おまえさん自身認めちゃいねえが、自然に魔法を使ったことだってある。その力をコントロールせにゃ、いつか周りの人に危害を与えることもあるんだ」
周りの人、つまりは叔母さんを…それは絶対に嫌だ。何も言えずにいると、さらにハグリッドが続けた。
「…それに、おまえさんが自分を守る術もだ」
その言葉の真意はわからないが、このままだといつか叔母さんを傷つけてしまうと考えただけで怖い。ホグワーツがどういう所なのか、私が魔法使いだなんて言われてもよく分からないが、私は魔法を知らなきゃいけない。
『……わかった。まだよくわからないけど、行った方がいいのね』
「確実にな」
『えっと、ハグリッド?改めてよろしく。私は──』
「よろしくな!」
かなり大きいその手と握手を交わす。ハグリッドの手と比べると、私の手なんてまるで赤子だ。
「そんじゃ行こうか!」
『え?』
「ホグワーツに行くんだろ?」
『行くけど、今から?』
「そのために俺は来たんだ」
今から行くと言われても、何も準備していない。ホグワーツがどこにあるか分からないが、きっと近くではないと思う。それなら洋服とか洋服とかきっといるはずだ。
「すまんが、他にも迎えに行かにゃならんくてな。必要なもんは後で買いに行くぞ」
『え、あ、うん』
懐中時計を見て「ちょいと遅れたな」と呟くハグリッドを見て、それ以上言えなかった。叔母さんを見ると、泣き出しそうな顔をして口元を抑えていた。