第6章 The decision is tonight
みんなが寝静まった頃、ハーマイオニーと目で合図してこっそりベッドを抜け出す。誰かに見つかればまた罰則を食らうだろうが、なんとしても石が盗まれるのを阻止しなくてはいけない。
『ごめん。あなたはここで待ってて』
一緒にベッドから降りてくるレイを制す。シューッと舌を出したあと、レイは静かにベッドへと戻っていった。
男子寮から抜け出してきた二人と合流し、階段を下りる。ソファの肘掛にいたのは同じグリフィンドール寮生のペット──トレバーだ。
「ここにいちゃいけないよ」
「君らもだろ?」
可愛らしいパジャマを来たトレバーの飼い主──ネビル。寮を抜け出していることがわかれば、グリフィンドールの減点は間違いない。なんとか理由を聞いてもらおうとするも、聞く耳を持たないネビルは杖も持たずに立ちはだかっている。ネビルの気持ちはわかるが、私たちはどうしても行かなくてはならない。
「悪く思わないでね。ペトリフィカス・トタルス」
ハーマイオニーが呪文を唱えると、ネビルは石のように硬直し、そのまま後ろに倒れた。
4人で透明マントの中に潜むのかなかなか狭かった。不気味な石像が並ぶ部屋の奥にひとつの扉が見えた。ハーマイオニーが「アロホモラ」と唱えると、鍵がガチャリと開いて簡単に扉の奥へ侵入することができた。
ハープの音色と共に聞こえる大きな寝息。その風で透明マントが外れる。目の前には大きな3つの頭がすやすやと寝ていた。これがハグリッドが言っていたフラッフィーだ。
「この足が邪魔だ」
扉の上にずっしりと置いてある太くて大きな前足。それをどかそうとした時、当たりが静かになり、違和感を覚える。
「なんだか急に静かになった…?」
「ハープよ。音色がやんだわ」
『それだけじゃない』
扉に向けていた視線をゆっくりと上げる。ハープにかけた魔法が解けたと同時に、フラッフィーが目を覚ましたのだ。侵入者である私たちを強く睨み唸っている。
「うわああああ!!」
「目を覚ましたわ」
急いでフラッフィーと距離を取り、ハーマイオニーが杖をかまえる。急いでハリーとロンも杖を取り出すが、その杖は震えている。
『待って、みんな杖をしまって』
「?何言ってるんだ?そんなの無理だよ」
『いいからお願い!大丈夫だから、多分』