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もうひとつの古傷【HP】

第6章 The decision is tonight



 「校長先生がいれば、あなた達に指一本触れさせないわ」
 ハーマイオニーの言葉に不安がゆっくりと溶けていくような気がした。賢者の石を手にしたらヴォルデモートは復活し、きっと私たちを殺しにくるだろう。今夜だってフィレンツェが来てくれなかったらそうなっていたはすだ。
 学期末テストが無事に終わり──採点的に無事かは分からないが、外の空気を思いっきり吸い込む。何時間も机にかじりついていたので、体がそのまま固まりそうだった。
 4人で歩いていると、再び傷の痛みを感じる。それはハリーも同じで、強く額を抑えている。
 『…なんだか胸騒ぎがするわ』
 「これは危険を知らせる前兆だよ」
 平原に響く笛の音色。笛を吹いている人物を見て、ハリーがなにか思いついたようだ。ドラゴンを欲しがっていたハグリッド。そこへたまたま卵を持った誰かが現れた。偶然にしてはできすぎている。確かにそうだ。なぜ気づかなかったのか。急いでハグリッドの元へ駆け寄る。
 「卵をくれたのはどんな人?」
 「顔はフードで隠れてた」
 「話をしたんでしょ?」
 「どんなペットを飼ってるかとか。俺はフラッフィーの後はドラゴンだなと言った」
 『その人はフラッフィーに興味を?』
 「興味を持ったとも。頭の3つある犬はそうはいねぇ。俺はこう言った。なだめるコツを知ってりゃ怖くねぇ。フラッフィーは音楽を聴くとスヤスヤ」
 それだ。卵をくれた人は扉の向こう側へ行くため、ハグリッドから卵の替りにフラッフィーのなだめ方を聞き出したんだ。私たちを引き止めるハグリッドの声が聞こえるが、こうしてはいられない。早く先生に伝えなくては。
 走り出した私たちが向かった先はマクゴナガル先生だ。副校長である先生から校長先生に繋いでもらいたかったのだが、タイミング悪く今ダンブルドア先生は不在らしい。賢者の石の名前を出すと、周りを見ながら小声になるマクゴナガル先生。騒がずに寮に戻るように言われてしまい、それ以上は何も言うことが出来なかった。

 卵をくれた人は誰か話していると、ちょうど疑いの人が背後に現れる。聞かれたか否かはわからないが、私たちを人睨みしたあとスネイプ先生は黒いローブを翻して去っていった。
 「どうする?」
 「今夜あの仕掛け扉の下を」

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