第5章 Happy Holiday
ハグリッドから聞いた話をまとめながら、ホグワーツの校舎へと戻る。校舎は夜空の青と炎のオレンジに染っている。
「マルフォイにも見られた」
「ヤバい?なぜ?」
『ハーマイオニー…前』
「こんばんは」
教室から出てきたのはマクゴナガル先生だ。その後ろから口角を上げたドラコの姿があった。一瞬目が合うと、ハッとした様な表情を浮かべた。
教壇に立つマクゴナガル先生からお説教をもらう。少し離れたところでドラコも一緒に聞いている。
「どんな理由があろうと夜中にうろついてはいけません」
「先生、僕が見たのは3人だけ。はいなかったです」
突然そう言い出したドラコに思わず4人の視線が右に行く。ハグリッドの小屋では間違いなくドラコ目が合ったのだ。ドラコは眉を下げて少し口を動かしている。きっと、嘘をつけと言いたいのだろう。
『いえ…私もいました』
マクゴナガル先生はそのことに対して何も触れず、1人50点ずつ減点すると言い放った。それだけでは終わらず、5人に罰則を与えると続ける。
「聞き間違いですよね?今5人と言われました?」
「聞き間違いではありません。理由はどうであれ、ベッドを抜け出したのです。あなたにも罰を与えます」
隣を見るとニヤリと笑う3人がいた。ドラコは悔しそうにこちらを見ている。どうにかして3人だけ罰を与えようとしたのだろう。
再びハグリッドの小屋へと踵を返す。先程まで藍色だった夜空は漆黒に変わっていた。揺らめく灯りだけが頼りだ。案内役のフィルチ先生がまるで脅すように過去の罰則について話し始めた。親指をくくって吊るされるだなんてごめんだ。
ボウガンを持って出てきたハグリッドの頬は涙で濡れている。生まれたばかりのノーバートが、故郷であるルーマニアへと送還されたのだ。
「シャキッとしろ。今から森に入るんだぞ。気を引き締めろ」
「森へ?冗談かと思った。本気であそこへ?立ち入り禁止だよ。あそこには…オオカミ男が…」
「もっと怖いものが出る。せいぜい怖がれ。真っ暗だよ」
森から何かの生き物の声が聞こえる。ポケットに杖があることをローブ越しに確認する。ハーマイオニーみたいに呪文がたくさん使える訳では無いが、杖があるのと無いのとでは安心感が違う。