第4章 Not surprised
ハリーたちの制止の声を地面に残し、ネビルを目指すが、ネビルの箒は不規則な動きをしていて、どこに飛ぶのか予想がつかない。どうしてもワンテンポ遅れてしまうので、ネビルに届かない。
『ネビル!手を離してはダメよ!』
返事はないが、彼も必死になってしがみついている。アーチをくぐり抜け、急上昇するネビル。あと数メートルまで追いついたが、突然ネビルの姿が消えた。よく見ると、像の槍にローブが引っかかり、宙ぶらりんになっていた。勢いで通り過ぎてしまったので、急いで戻り彼が落下する前に、と手を伸ばす。
「!助けて」
『ネビル!』
布が破れる嫌な音がする。ローブの限界が来て、ネビルが地面にたたきつけられそうになる。お願い、間に合って、と強く願うと左手は彼の右手を掴んでいた。
『間に合っ……!?』
「うわぁ!!」
掴んだはいいが、意外にもずっしりとした重みに箒から身が乗り出す。それもそうだ。ネビルだって普通の男の子だ。その重さに耐えられるほど私の左手は筋肉質ではない。
『っ!!』
それは一瞬の出来事で、状況を理解するには時間がかかった。まず左手が動かせない。次に全身にかかる重み。頭も強く痛む。
「?っ!!」
すぐそばから聞こえる焦った声。全身が軽くなったのを感じて、ネビルの下敷きになったことがわかった。自分のせいでとか、自分を庇ってとか考えているのだろう。そうではないことを伝えたいが、頭がぐるぐると回ってそれは叶わない。
「ミスターロングボトム、どきなさい!ミス!!…左手首が折れてる。それに、頭も強く打ったわね。大丈夫よ、すぐ医務室へ。ミスターロングボトムも来なさい」
「…ごめん」
箒とは違う浮遊感。先生に横抱きにされ、朦朧とする意識の中で青い空が見えた。自分を心配してくれる声が沢山聞こえるが、視界は段々と暗くなっていった。
「の怪我はあいつのせいだ…こいつでしりもちのつき方を思い出させよう」
「返せよマルフォイ」
透明の球体が芝生に転がっている。それを拾ったドラコが、ネビルをからかうように大きな声で話した。そしてドラコの挑発に乗ったハリーが、それを取り返そうと箒に股がる。