第4章 Not surprised
内容は入学、グリフィンドールの入寮、おめでとうという内容だった。何故グリフィンドールになったことを知っているのかはわからないが、深く考えずに素直に喜ぶ。その後にはホグワーツの生活はどうかとか、友達はできたかとか、他愛のないことが綴られている。既に叔母さんに聞いてほしいことはたくさんある。便箋が足りるかどうか心配していると、新聞を広げたハリーが口を開いた。
「、コレ見て!グリンゴッツ銀行に泥棒が入った」
内容は713番金庫の中身を狙い泥棒かわ侵入したが、既に中身は空になっていた、というもの。間違いなく、ハグリッドが開けたあの金庫だ。
昼下がり。目の前には綺麗に並べられた箒。いよいよ、飛行訓練だ。魔法が使えたらなにする?と聞かれたら、やはり空を飛ぶ、と応える。その夢が叶うとなると、自然と口元が緩む。
ハキハキと話すフーチ先生の指示に従い、箒の左隣に立つ。そのまま右手を出して「上がれ」と言うらしい。その言葉を聞き、周りの人達は直ぐにそれを実行する。我先に、というよりまずは周りの様子を見てから自分もやる、という日本人の性格が根付いている。
ハリーとドラコは一発で箒を手にしていた。周りを見ると、地面でジタバタする箒に何度も「上がれ」と言って苦戦する人達が多い。あの秀才なハーマイオニーさえ、手こずっている。そろそろ自分もやろう。
『上がれ』
周りの人の声に飲み込まれ、思ったより小さくなった自分の声。箒に届いたのかどうかは分からないが、開いた右手に向かってまっすぐ上がってくる。太くしっかりとした木の感触を、落とさないように強く握りしめる。
箒に跨り、先生の合図を待つ。地面を強く蹴ると浮くらしいが、にわかに信じ難い。ただのジャンプだけで終わりそうな気がする。
笛の音と同時に最初に宙に浮いたのは、ネビルだった。ネビル自身かなり焦っていて、その気持ちが箒に伝わるのか、箒も不安定に揺らめく。先生はネビルが落ち着くように声を掛けるが、その声も虚しく、ネビルは暴走した箒と共にさらに上昇した。
助けなきゃ。そう感じた時には既に行動していた。一か八か地面を強く蹴ると、両足がふんわりと浮く。
「!?」
飛び方も止まり方も分からないが、それはネビルも同じ。スピードを早めるように前かがみになると、案外意のままに箒は動いてくれた。