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もうひとつの古傷【HP】

第3章 White encounter



 扉がひらくまでのわずかな時間に、ハーマイオニーと汽車での出来事を話す。興味深そうに聞いてくれたが、初めて蛇を撫でたことを嬉しそうに伝えると、共感はしてもらえなかった。

 話しているうちにいつの間にか扉が開いていたらしく、遅れをとらないようについて行く。扉の向こうにはたくさんの生徒が座っていた。ロウソクが浮かび、天井には星空が広がっている。
 口を開けながら歩いていると、隣からハーマイオニーの豆知識が聞こえてきた。彼女は入学前からホグワーツについて予習をしていたらしい。かなりの勉強家なのだろう。
 壇上には横並びにに貫禄のある人たちがずっしりと座っている。その中心には立派な髭を生やした老人がいる。彼がダンブルドア校長であることは一目瞭然だ。簡単な注意事項を聞いたあと、早速寮の組み分けの儀式が始まる。
 ひとり座れる椅子と、まるで魔法使いの帽子を絵に書いたような帽子が置いてある。その帽子が寮を決めてくれるらしい。帽子がどうやって決めるのが考えていると、すぐ隣の彼女の名前が呼ばれた。一瞬目が合いお互い頷いたあと、ぶつぶつと独り言を言いながらハーマイオニーは壇上へあがった。
 「よろしい。君の寮はグリフィンドール!」
 ただのシワだと思っていた部分がうごきだし、そこから発せられる自我を持った声に驚く。こんなに驚いていては、これから先大丈夫なのかと心配になる。クリスマスプレゼントを開けた時のような、嬉しい驚きだが。
 それから数名の名前が呼ばれ、順調に儀式は進んでいく。新しい友達の、ドラコ、ロン、ハリーも寮が決まっていく。ハリーの名前が呼ばれた時は、会場内がざわめき、組み分け帽子もかなり時間をかけて悩んでいた。
 果たして自分はどこになるのか、ドキドキしながら待っていると、ついに自分の名前が呼ばれた。
 「・」
 『は、はい』
 出席確認をするのと同じ要領でつい返事をしてしまった。他の人はしてなかったのに自分だけ、と少し恥ずかしくなる。周りの人は全く気にしていない様子で、私の名前を聞いて再びざわめき始めた。
 「うーん。これはまた難しい…どこの寮に入っても君は間違いなく、才能を生かせるだろう」

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