第3章 White encounter
『…ハリー、ロン。ちょっと先に行ってて』
「うん。でもどうして?」
「まさかヘビを探すのかい?」
あからさまに顔を歪めたロンはとてもわかりやすい。そのまさかだよ、と伝えるには笑顔を浮かべるだけで十分だった。
列が見えなくならなければ大丈夫、数分だけ…と思い、赤いベンチが並ぶホームを歩き回る。耳を済ましても草むらを通るような音はしない。あの雪のような真っ白さも見当たらない。
『ねえ!どこ行ったの?』
口に手を当てて聞こえるように叫んでみるが、特に変化はない。代わりに聞こえてきたのは、先程聞いた女の子の声だった。
「?早く行かないと置いてかれるわよ」
『っ、と…びっくりした!ハーマイオニー…もしかして待っててくれてるの?』
ローブを纏う軍団は少し先に見える。ハーマイオニーがこんなにすぐ近くにいるということは、そういうことだと思い、つい笑顔になる。ハーマイオニーは「たまたまよ」と言っていた。白蛇の行方が分からないのは後ろ髪を引かれる思いだが、これ以上ハーマイオニーを待たせる訳にも行かず、小走りでみんなの元へと向かう。
どうやって進んでいるのか謎のボートに乗ると、正面に異国のお城を思わせるような立派な建物が近くに見えてきた。異国の、という面では合っているが、お城ではなくあの建物自体が学校なのだろう。そう考えると凄いところに入学したんだ、と実感する。
ハリーとロンはかなり前の方にいるらしい。私はハーマイオニーとボートに乗り、暖かそうな光が漏れるホグワーツや、揺れるライトが反射する水面を楽しんでいた。
1番上の階段でとんがり帽子を被る人──おそらくここの先生が、これからのことについて簡単に説明している。私のせいでハーマイオニーもかなり後ろの方に来てしまったため、言葉は途切れ途切れにしか聞こえない。それでも拾った単語から話の内容を予測し、今から寮の組み分けをする、とハーマイオニーが小声で教えてくれた。
「トレバー!」という声が先生の話を遮る。隣から小さなため息が聞こえたので、反射的にハーマイオニーを見る。
「トレバーはネビルのヒキガエルの名前よ。見つかったみたいね。これであのヘビの疑いも晴れたわ」
『それはよかった…どこに行っちゃったのかしら』
「あら、いなくなったの?」