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もうひとつの古傷【HP】

第3章 White encounter



 頭上で唸る声を聞きながら、4つの寮を見渡す。既に組み分けが終わった同級生が着席しており、その視線はこちらに向いている。ふと、ドラコと目が合うと、彼はニヤリと微笑んだ。微笑んだというより、挑発するような微笑み方だ。その意図が分からないので、特に反応せず、視線を逸らす。
 まだ知り合って数時間だが、既に友達ができた。ハリーにロンにハーマイオニー。寮が家同然なら、友達が寮にたくさんいる方がいい。
 『…グリフィンドールがいいな』
 「……それなら君は、グリフィンドール!!」
 ぽつりと呟いた言葉はしっかり届いていたらしく、私の寮はグリフィンドールに決まった。再びグリフィンドールの生徒が席を立ち上がり、盛大に拍手をする。歓迎されているのは間違いないと思うが、かなり大袈裟なそれに少し恥ずかしくなる。求められた握手に応え、ちょうど空いていたロンの隣に座る。

 「では宴を始めよう」
 無事に組み分けの儀式が終わり、寮生と自己紹介を交わした頃、ダンブルドア校長が一言告げる。すると、目の前に置いてあった空のお皿に、豪華な料理が現れる。どれとこれもとても美味しそうだ。そういえばお腹がすいている。汽車ではお菓子しか食べていないので、それも当然だ。
 手を合わせて「いただきます」と言い、料理を口に運ぶ。隣に座るロンもそうだが、他の人も早速料理に食い付いている。
 空腹を満たそうと早々と料理をお腹に詰めていると、左に座るロンとの間に誰かが割り込んできた。
 「やあ、グリフィンドールへようこそ」
 「君が噂のだね」
 右と左に同じ顔が2つ。ありがとう、というのには1拍必要だった。彼らは人見知りという言葉を知らないのか、初対面にもかかわらず、肩を抱いたり腰に手を回したりしている。
 『えっと…お名前は?』
 「ジョージ」
 「フレッド」
 「「よろしく、姫さん」」
 両サイドから同時に声が聞こえるので、どっちを向いたらいいのかわからず、つい正面に座るハリーを見る。ハリーは気まずそうに笑っている。「せまいだろ。あっちに座れよ」というロンの声が聞こえる。「「我が弟は可愛くないねぇ」」と見事にハモった言葉を聞いて、ふと思い出す。
 『ロンのお兄さん…?あ、そういえばホームにいた…』
 「そうさ」
 「迷子の姫さん」

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