第3章 White encounter
杖を取りだし呪文を唱えようとしたその時、くせ毛の女の子が現れ、ロンの呪文は途切れた。
「ネビルのヒキガエルを見なかった?……もしかして、その…」
女の子の視線の先には隣で眠る白蛇の姿。言いたいことは分かる。
『この子はずっと私と一緒にいたけど、食べてるところを見てないよ。それに丸呑みしたらお腹が膨らむからわかるし』
そう言うとが女の子は納得したが、眉根を潜めながら蛇を見ている。きっと苦手なのだろう。
「あら、魔法を?やってみせて」
結果から言うと、ロンの魔法は失敗に終わった。カエルを探しに来た彼女は、初対面にもかかわらず、ロンにダメ出しをする。口には出さないが、ロンの表情は穏やかなものでは無いのは確かだ。
「私が知ってる呪文は簡単だけど皆効くわよ」
ローブから杖を取りだし、ハリーに向かって「オキュラス・レパロ」と唱えると、メガネの縁に巻いてあったテープが消えてた。壊れたメガネをテープで補修していたらしいが、今の魔法でテープは必要なくなったらしい。
「あなたはハリー・ポッターね?もしかして…あなたは・?」
魔法に驚いた私たちの次に驚いたのは、ハーマイオニーと名乗った女の子だった。ハリーと私の名前を言い当てた。ロンも自己紹介するが、「ついでで悪かったね」と口が動いたような気がした。
ハーマイオニーに言われた通り、ハリーたちと順番に制服に着替えていると、汽車の速度は緩やかになった。どうやら目的地に到着したらしい。あたりは真っ暗闇。魔女や魔法使いがでてきそうな、なんとも雰囲気のある夜になっていた。
汽車が止まり、席を立つと、それと同時にいつの間にか目を覚ました白蛇が、一足先にコンパートメントを出ていく。
『あっ!』
引き止める理由もないのだが、せっかく仲良くなったのに少し寂しい気がする。車内には一斉にコンパートメントから出てきた人で溢れており、とても追いかけられそうにない。
近くから「キャー!」と悲鳴が聞こえるのは、気にしないでおく。
「行っちゃったね」
『うん…どこ行くんだろ』
うまく人の流れに乗り、3人で汽車を降りると、前方には見慣れた人がいてほっとする。ロンはその人物の大きさに驚いていた。
「こっちへ。ボートに乗るんだ」
ハグリッドが案内役だろうか。先頭を歩き、私たちを誘導する。