第3章 White encounter
硬直したまま蛇の動きを見る。このまま逃げ出したら襲いかかってきそうだ。あまり刺激しないようにじっとしていると、それが仇になったのか、蛇は私の隣のシートに降りてきた。人の肩に乗せれるほど、かなり大きい蛇だ。シューっと舌を出しながらこちらを見ている白蛇。ゴクリと唾を飲むと、ハリーが口を開いた。
「…に会いに来たって」
『え?私に?』
思わずハリーを見るが、ハリーも信じられないような顔で蛇を見ている。もう一度蛇に視線を戻すと、赤く円な瞳とばっちり目が合った。
『噛まないよね?』
ゆっくり手を伸ばすと、蛇は逃げるも抵抗もせず、私の手を受けいれてくれた。少しひんやりとした滑らかな体が気持ちいい。
『すごい…初めて蛇を触っちゃった。それにしても、ハリーよく分かったね』
「なんでだろうね」
調子に乗って蛇をたくさん撫でていると、蛇は動きだし、なんと私の膝の上に乗り出した。ずっしりとした重みを感じ、蛇が落ちないように思わず膝に力が入る。
「のこと気に入ったみたいだね」
『そう、なのかな?へへへ』
そう思うと彼が可愛く見えてきて、まるで子犬相手のように、よしよし〜と頭を撫でる。蛇も私の腕に巻きついたり、自分から頭を擦り付けたり、かなり人馴れしている様子だ。
『ちょっと…行ってくるね』
「うん」
それだけでわかってくれたハリーはきっとモテるだろう。さすがにトイレと直接言うのは恥ずかしい。席を立って扉に手をかけると、白蛇もシートから降りてくる。着いてくるみたいだ。
『さすがに中はダメだからね』
チロチロとピンク色の舌を出す白蛇。あんなに最初は怖かったのに、随分慣れたものだ。
細長い廊下を進んでいく。もちろん私たち以外にもホグワーツへ向かう人は沢山いて、車内は賑わっている。私の後ろを着いてくる蛇の存在に気づくと、「ひっ」と小さな悲鳴をあげて、顔色を変える人がほとんどだった。
『みんな怖がってるわよ』
後ろを振り向きながら話しかけると、ドンと誰かとぶつかる。完全に前を見ていなかったため、突然の衝撃に間抜けな声が出る。
『ご、ごめんなさい』
「どこを見ている…ん……」
足元から何かが巻き付くような感覚がする。それは段々と上に登ってきて肩で止まった。耳元で「しゅー」と鳴き声がする。