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Again【ツイステ】

第1章 蘇れ




「あーーっ!やべっ!ハートの女王の石像が黒焦げに!」


石像に塗装でもしてあったのだろうか?
乱闘の最中、ハートの女王を模した石像が火の粉を被り、見る見るうちに燃え上がって、表面が焦げ付いてしまった。


「オマエが風で炎の向きを変えるからだゾ!大人しく燃やされろ!」
「そう言われて燃やされる奴がいるかっての!」
『えぇー…石像の焦げって、どうやったら綺麗になるのかな』


喧嘩したいなら勝手にしていればいいさ、と、私は雑巾を片手に、ハートの女王の石像を磨き始めた。
すると、二人を取り囲んでいる人だかりをかき分けて、クロウリーさんが現れた。


「こらー!!なんの騒ぎです!」
「げっ…学園長…!」
『…あ』


私はクロウリーさんの顔を見て、今朝方彼から言われたばかりの言葉を思い出した。


「先ほど「騒ぎを起こすな」と言ったばかりのはずですが?しかも!グレート・セブンの石像を黒焦げにするなんて!」


よほど。
退学に。
させられたいと。
見えます。


と、言葉を噛みしめながら激怒しているクロウリーさんを見て、エースが反射的に弁明をした。


「ちょ、それは勘弁!」
「カオルくんも。これではグリムくんを監督しているとは言えませんよ」
『一応止めたんですが…』
「一応すぎますよ!私、見てましたからね。貴方二人に背を向けて、石像をどうにか誤魔化そうとしていたでしょう!」
『えぇ…綺麗にしようとしていたんですが』
「まったく…君、学年と名前は?」


またクロウリーさんに鋭い視線を向けられたエースは、観念したかのように、「エース・トラッポラ」と自分の名前を名乗った。


『…トラッポラ。トランプみたい』
「今興味出てきたのかよ。最初っから興味持てっつーの!そしたらこんなこと「勝手におしゃべりしない!では、トラッポラくん、グリムくん、そしてカオルくん」






「3人には罰として、窓拭き掃除100枚の刑を命じます!」








驚愕の声を上げるグリムと、エースの隣で、私は『はい』と短く返事した。
放課後、大食堂に集合、いいですね。
そう指示を飛ばしたクロウリーさんに、また簡潔な返事をうわの空で返しながら、私は。






(…大食堂。そういえば、お昼ご飯なに食べようかなぁ)






まだ見ぬ異世界のランチに思いを馳せた。


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