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Again【ツイステ】

第1章 蘇れ




「カオルはどこの寮「なぁなぁ、エース。それじゃあっちの目に傷のあるライオンも有名なヤツなのか?」…え」


エースは私とグリムを1、2度素早く見た後、コホン、と咳払いをして、箒を手に掃除し始めた私にも教えてくれるつもりなのか、わりと大きめな声でグリムに説明をし始めた。


(……朝ご飯、食べない派にならなきゃいけないのか…でももはや、初日で頭が回らない…)


心なしか、朝食を抜いただけで、全身の力が抜けている気がする。
そもそも、私はなぜ。
名前すら知らない学校の敷地で箒を手に、よく知らない木から落ちた葉をかき集めているのだろうか。


『…お腹すいた』
「じゃあじゃあ、こっちは?」
「こっちの像はー」
『…グリム、話終わったら掃除を始めてね』
「おぉ〜ドラゴン!」
『…聞こえてるのー、グリムー』
「全モンスターの憧れだゾ!」
「クールだよな〜」


和気藹々と男子トークに花を咲かせている二人を眺めて。
私は早々に口を閉じ、黙々と掃除を始めた。
モンスターと人とはいえ、男性同士。
グリムとエースはもはや意気投合している。





ーーーように見えた。












「どっかの狸と違って」











(………ん?)


二人の会話を聞き流していた私は、手を止めた。
今の文脈は、おかしくないか?と、違和感を感じたからだ。
私が箒を一つの石像に立てかけ、振り返ると。
仲良さげに話していた二人は、急に一触即発な雰囲気を醸し出していた。


「ふなっ!!!?」
「…プッ…あははっ!もう堪えるの無理だ!なあお前ら、昨日入学式で暴れてた奴らだろ?」


闇の鏡に選ばれたのに魔法が使えない奴と、お呼びじゃないのに乱入してきたモンスター。
エースは私たちを交互に指差し、先ほどまで浮かべていた「お利口さんな笑み」とは違う、イジワルそうな笑みを浮かべて、闊達に笑い出した。


「やー、入学式では笑い堪えるの必死だったわ」


エースがケタケタと笑い、私を指差したのを見て、グリムが怒りの炎を燃やした。


「なぬ!?し、失礼なヤツなんだゾ!」
「で、結局入学できずに2人して雑用係になったわけ?はは、だっせー」
「にゃにおぉおぅ…!?」


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