第1章 蘇れ
「この私が学園長を務めて早ン十年」
「ナイトレイブンカレッジ同士が手と手を取り合って敵に立ち向かい、打ち勝つ日がくるなんて!」
「私は今、猛烈に感動しています!」
「今回の件で確信しました。カオルくん、貴方には間違いなく猛獣使い的才能がある!!」
自分の学園の生徒たちを猛獣扱いしているのもどうかと思うが、それよりも。
私はクロウリーさんの断言を聞き、言葉を返した。
『どんな才能!?』
「ナイトレイブンカレッジの生徒たちはみな、闇の鏡に選ばれた優秀な魔法士の卵です。しかし、優秀がゆえにプライドが高く、我も強く」
それ故、他者と協力しようという考えを微塵も持たない個人主義かつ自己中心的な者が多い。
貴方は魔法が使えないからこそ、使える者同士を協力させることができた。
クロウリーさんはそう言葉を続け、こうも言った。
「カオルくん。貴方は間違いなく、この学園の未来に必要な人材となるでしょう」
『ーーーー。』
(……未来に、必要な…)
出会って間もない、異世界の住人の言葉。
仮面を着けているせいで、素顔すらわからない大人の言葉を聞いて。
私は、瞬間的に思い出した。
ーーー風早、悪いけど
ーーーうちの会社の未来に、お前は要らないよ。
ーーーお前、使えねぇもん。
不意に、涙が出てきた。
不覚にも、嬉しいと思ってしまった。
こんなわけのわからない異世界で。
自分がこんなに簡単に。
誰かに認めてもらえるなんて。
「…わっ、カオル何泣いてんだよ、大丈夫か?おいデュース、お前が米俵にするから!」
「そんなに怖かったのか?すまない、つい!」
「ふなななぁ…おいエース!デュース!オレ様の子分に何したんだゾ!」
「「何もしてねぇよ!!」」
『大丈夫、ごめん。目が痛くて』
「本当に大丈夫ですか?」
『はい、話の腰を折ってすみません』
「では、トラッポラくん、スペードくん。2人の退学を免除するとともにーーー」
そして、クロウリーさんは言った。
「カオルくん。貴方にナイトレイブンカレッジの生徒として、学園に通う資格を与えます!」