第1章 蘇れ
(…明日から学校か。変な感じ)
クロウリーさんは、私とグリムを二人で一人分の生徒として、この学園に置いてくれることを決めた。
私は彼から身だしなみをある程度整える為の軍資金10000マドルを預かり、帰り際、学園長の口利きで臨時開店してもらった購買部に寄って、石鹸や下着類など、なくては生活が成り立たない物を購入した。
そして帰宅早々、バスルームに群生していたカビを一掃して、シャワーに入り、自分自身の清潔さレベルを何とか回復した。
(それにしても石鹸が300マドル、シャンプーリンスっぽいものが1000マドル、オーラルケア商品が一式で500マドル、洗剤系一式が「新生活応援キャンペーン」でお得になって2200マドル、下着が2着で6000マドル…高い、高すぎるよ…!)
軍資金を得てからわずか30分足らずで無一文へ逆戻り。
そもそも、身の回りのものを揃えるのに10000マドルは妥当なのか?
Tシャツ3枚で5000マドルが「超お得」な世界なのに?
疑問に思えて仕方ない。
けれど、少なくともしばらくは文句を言える立場にはない。
なぜなら自分は10億の価値があるシャンデリアを割った集団の一人なのだから。
『…あっ』
シャワーを浴び終わって。
バスタオルがないことに気づいた。
『……。買いたいものリストに追加』
小鬼ちゃん、ぜひ今後ともご贔屓にね。
購買部のMr.サムから、そんな言葉と共にサービスとして受け取っていた粗品のハンドタオルを買い出しの袋から引っ張り出し、身体を拭いた。
(……あれ?)
そこでようやく、私は自分の身体の異変に気付いた。
(……胸が小さくなった気がする。身体も薄い。なんで?)
疑問に思いながら、ひとまず下着に着替えると。
やはり自分の身体が、ワンサイズダウンしていることがハッキリとわかった。
『…仕事しすぎて痩せた?』
なんだか不安になり、自分の見た目を姿見で確認しようと、さっき脱ぎ去った制服を着直した。
部屋着が無いから仕方がない、仕方がないのだ。
寮を歩き回り、埃まみれのカバーを被った姿見を談話室で見つけた。
鏡にかかっていたカバーを外して。
絶句した。
私は
歳相応に制服を着こなしていた。
つまり
『…私、高校生に若返ってる?』