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Again【ツイステ】

第1章 蘇れ




一席、二席と。
食堂の席が生徒達で埋まっていく。


「なぁ、お前どこの出身?名前は?」
「エース。エース・トラッポラ。さぁこの名字の響きはどこの出身でしょーか?」
「どこだっけ。当てるからちょい待ち!」


(名門っつっても、ロイヤルソードとは違って話しやすい奴多そう。ナイトレイブンカレッジに選ばれてラッキー♪)


そんなことを考えながら、エースはビュッフェコーナーから好きなものだけをパパッと選び、精算カウンターへと進んでいった。
すると、会計を待つ間の並び順でエースの後ろに並んだ生徒が、「あ」と何かを思い出したかのように、声をかけてきた。


「お前さっきあのモンスターとやり合ってた奴だろ?」
「げぇー見てたのかよ。…そーだけど?」
「じゃ、じゃあさ!あの子の名前聞いた?」


あの子、と言われて。
思い浮かぶのは一人しかいない。


「…あの子って、誰?」
「しらばっくれんなって!仲良さそうに話してたじゃん!」
「あー、あの子?ライオットだってー、バスケ部に入るらしいよ。オレもバスケ部にしよっかなー。お前は?」
「え?オレは…まだ悩み中ってか、話」


そらすなよ、と言い切られる前に、エースはカウンターを抜け、食堂の席全体を見渡した。


(……あ!いや待てよ…?)


「あの子」の姿を見つけ、近寄ろうとした自分の足に急ブレーキをかけた。


(…ここで下手に関わったら、マジで窓拭き掃除100枚の刑に…)


それは嫌。
だから知らぬ存ぜぬを突き通すことにしよう。
エースはそう決めて、ほぼ初対面のクラスメート達とテーブルを囲むことにした。
けれど、話題になるのはやはり。
この人がごった返している大食堂でも、一際目立つ「あの子」と一匹。


「なぁ、どう思う?」
「やべぇよな、マジで」
「マジやば。男子校であんな子いたらさぁ、もう完全にオカズじゃん。昼ごはんだけにね」
「お下品!!でも上手!!!」


(…めっちゃ頭悪そーこいつら…一緒に飯食う面子ミスった…)


「マジやば」「やばい」「マジで?」と、同じような言葉しか出てこない会話を楽しんでいるらしい同級生達に呆れてしまい、エースが終始無言で昼食をかき込んでいると、不意に話題を振られた。


「エースは?あの子どう?」


直球な質問に。
直球な答えを返した。


「オレ狙ってるから。邪魔すんなよ」

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