第4章 DAY 3
「後悔、すんなよ。」
倒れた体。
変わる視界。
目を開けば目の前には獄さん。
その顔がどんどん近づいてきて、わたしの唇に柔らかなものが触れた。
その唇はわたしの目尻に溜まる滴を吸い取って、涙の跡を伝って頬に口付けた。
叩かれて腫れてしまった頬を優しく撫でながら獄さんはわたしの唇にまたキスをする。
はむ、と下唇を噛むと暖かく滑った舌が唇をなぞる。
再び柔らかな唇がわたしの唇を吸うとそのまま顎に口付けた。
「背中浮かせろ。」
言われた様に浮かせれば外されるホック。
下着を取られ露わになった胸には強く吸い付いたであろう赤い跡や齧り付いた跡が散らばっている。
その跡を上書きする様に口付けながら、獄さんは優しく髪を撫でる。
漏れる声が嫌で手の甲で口を塞げば、その手は獄さんに絡め取られる。
「ひとやさん、手」
「我慢すんな。聞かせろ。」
絡んだ手を持ち上げその甲に唇を寄せわたしを見る獄さん。
前髪の隙間から覗く瞳が熱っぽくて視線を彷徨わせれば獄さんは小さく笑う。
柔らかな笑顔に奪われた瞳と心。それで一瞬反応が遅れた。
「ひゃっ!」
自分の小さくて甲高い声が部屋に響く。胸の突起を摘まれ出た声に口を閉じようとするけれど先程の獄さんの言葉を守るように空いた手はシーツを掴んだまま。
「ん、偉いな。」
そう言いながら獄さんはわたしの胸の膨らみをやわやわと揉みながらたまに先端を摘む。
さっきとも昔とも違う優しい触れ方に体の力は抜け体は熱くなる。
まるで壊れ物を扱う様に触れる指先と唇。
嬉しさと恥ずかしさで目が開けられない。
胸の突起を弄りながら唇は少しずつ下に下がりウエストでギリギリ止まっていたスウェットがそっと脱がされた。
太腿を閉じようとしたけれど先に体をねじ込まれすかさず下着越しの秘部に指を這わせられた。
「濡れてるな。」
確認の様に言われた言葉にふる、と体を震わせる。
くる、くると臍を指の腹でなぞる獄さん。
そのまま下へと指を這わせると下着の淵に指を引っ掛けた。
怖い。
急に襲う不安。
下着に掛けられた手を思わず握ればその手は下着から離れわたしの頭を撫でる。
「怖いならやめておく。」
「やだ。」
わたしの頭を撫でる手を捕まえるとわたしはそれに頬擦りをする。そして人差し指の腹に唇を寄せるとわたしはそっと口を開いた。
「ひとやさんなら、いい。」