第5章 LAST DAY
ひとしきり泣いて、手のひらで雑に涙を拭われて、それに怒りながらも離れられなくて。
どちらからともなく唇を合わせた。
「ひとやさん、すき。」
「ん、俺も。」
「…すき?」
「好きだ。」
「エロガキには興味ないんじゃないの。」
「…言ってろ。」
彼のチームカラーに染まる箱の中の小さな輝き。
この輝きに見合うようにずっと輝いていられるように、ずっとわたしの隣にいてほしい。
「獄さん、私卒業したの。」
「そうだな。」
「これから先、ずっと獄さんのそばにいてもいい?」
そう問えば獄さんはくしゃりと顔を笑みに変える。
「たぁけ。こっちが離さねえから心配すんな。」
好きの方向も好きの量も全然違うと思ってた。
でも実際は方向はちゃんと向き合っていて、好きの量は多分わたしの方が多いと思う。
好きのベクトルが変わらないように、わたしはちゃんと好きを貴方に言い続けたい。
「獄さん、すき。」
わたしが愛を伝えると、獄さんはわたしをぎゅうと抱きしめた。
end