第4章 DAY 3
「先に寝てろ。」
わたしの怪我に消毒を塗り込んだ獄さんはそう言ってお風呂に行ってしまった。
寝室に残されたわたし。
大人しく布団に入れば布団からは獄さんの香りがして眠れない。
それでも眠ろうと体を抱き目を瞑ればゆっくりと眠気が襲ってくる。
睡魔に身を委ねて意識を飛ばそうと体の力を抜いたところで急に目蓋の裏に映像が流れた。
数人の男たちに囲まれた、あの時の映像が。
びくりと体が跳ねた。
怖くて、肌触りの良い毛布をぎゅうと胸に抱いた。
無意識にリビングの方に飛び出せばお風呂から上がった獄さんがいた。
「獄さ…こわ…」
わたしの顔を見た獄さん。
一瞬戸惑った顔をした後わたしの手を握ってそのまま寝室へ向かう。
ダブルくらいあるベッドの上、引かれた手をそのままに二人ベッドに乗る。
「男が、怖いか。」
聞かれた問いに頷けば離れようとする大きな手。
慌ててその手を追いかけて両手で掴めば優しい声が降ってくる。
「俺が、怖いか。」
ふる、ふると横に首を振るとわたしの掴んだ反対の手が頭を撫でる。
「俺はソファーで寝る。寝付くまで手握っててやるから。」
幼子をあやす様な、優しい声。
嬉しいけれど、
それが辛い。