第4章 DAY 3
「緊急事態ってそういうことかよ…」
事務所に集合した二人に経緯と録音を聞かせれば、二人は苦虫を噛み潰したような表情だ。
今すぐ殴りに行きたそうな空却とボイスレコーダーに耳を寄せる十四。
レコーダーから顔を上げた十四が口を開く。
「この声、多分あれっすよ。大晦日に空却さん家で見かけた違法マイクの…」
十四は音楽をやっているからか中々に耳が良い。
電話越しの相手の声も特徴を掴んで当ててしまう。
「ああ、拙僧が1バースでのしたあの雑魚共か。」
大晦日、寺で見かけたあの数人。
早めに対処はしたつもりではいたがやはりあの時になずなも目をつけられてしまったようだ。
「海沿いの倉庫街か。虱潰しに探しても時間が過ぎていくばかりだな。」
地図アプリで確認すれば倉庫街は3箇所。
分かれて探すほかないようだ。
西側、海側に出っ張った楠を空却がスクーターで、東側の海側に出っ張った東浜を俺がバイクで、北側の木場を十四が担当することにした。
木場は俺側からも空却側からも回収がしやすいため、免許のない十四には適任だった。
「見つけたらすぐにお互いに連絡。手加減なんてするんじゃねえぞ。この世の地獄を見せてやれ。」
空却の言葉に頷きそれぞれのヒプノシスマイクを確認すると、俺達は急いで事務所から出た。